バスク日々の泡

フランスバスクでの日々の暮らしもろもろ

ヨーロッパ文化遺産の日に見学した、ルノワールのメセナが設計した息子の中学校

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 9月の話になりますが、フランス全土で実施されたヨーロッパ文化遺産の日に、息子の通う公立中学校を見学してきました。エリゼ宮(大統領官邸)やベルサイユ宮殿なども一般公開されていましたね。

 

 そんなに有名でもないこの学校が、なぜ文化遺産に指定されているのだろうとずっと不思議に思っていたので、それを知るよい機会だなと思って。

 

 集合場所は学校の受付。遅れそうになり慌てながら到着したら、40人くらいの人がすでに集まっておりました。

 

 見学ガイドが始まり、あちこちみんなで見てまわる間、歴史の先生が丁寧に説明をしてくださいました。

 

 まず玄関ホールにある記念碑を見ながら説明を受けました。学校卒業生で、戦争(第一次、第二次、インドシナ戦争)で命を落とされた方々の名が刻まれています。第一次大戦の犠牲者の多いこと!戦争は本当に悲惨だ・・・。

 

 第二次大戦中のレジスタンスの英雄、数学者のジャン・カヴァイエス、記号学者のロラン・バルトなどがここで学んだ著名人だそうです(あとはラグビーの名選手が何人もいるそうですが知らなくて…)。難しいので完全には理解できませんが、バルトは好きなのです。まさか自分の息子が彼と同じ場所で学ぶとは、全くもって感無量。ありがたいことです。若くして交通事故で亡くなってしまったのですが、お墓はバイヨンヌにほど近いUrt(ユルト)という小さい街にあり、旦那と一緒に探しに行ったことがあります。その時は残念ながら見つけることができませんでした。幸せな幼少時代を過ごしたバスクが大好きだったそうです。

 

 あ、話がずれちゃった。

 

 その後建物の歴史を教えてもらいながら、建物の周りをみんなでぐるーっとまわりました。

 

 1869年に、ナポレオン1世の教育改革の枠組みで、ナポレオン3世の教育大臣がバイヨンヌに高校を作ることを決め、作られたのがこの学校。20世紀半ばまでは高校(リセ)でした。開校当時はブルジョア階級の子息のための全寮制の男子校だったそうです。

 

 19世紀の半ばごろは、すでにフランス全土に鉄道網が発達してスペイン側とつながっており、スペインからも多くの生徒が学びにきたインターナショナルな学校だったそう。

 

 設計を担当したのは、シャルル・ル・クール(Charles Le Coeur)という建築家。パリの国立図書館の旧館や、サン・ジュヌヴィエーヌ図書館などで有名なアンリ・ルブルースト(Henri Lebrouste) という建築家のお弟子さんです。

 

 実は、シャルル・ル・クールさんはあの有名な印象派の画家ルノワールのメセナ(庇護者)だったそうで、ルノワールが描いた彼の肖像画をオルセー美術館で見ることができます。上の画像がそうです(1874年作)。シックで素敵な人だったんですね。

 

 建物の外観には、地元のビダッシュとアリュディで採れた石材と、フランス北東部ボージュ県の石材が使われ、多彩ながらエレガントです。四角い中庭をぐるっと歩廊が囲んでいます。

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 学校は大変評価されて彼の名声はぐーんと高まり、その後コンドルセ、ルイ・ル・グラン、モンテーニュなど、パリの超名門校の設計を次々に手がけたそう。この学校が出世作だったのですね!

 

 ちなみに学校内に教会も作られたそうで、もちろん案内していただきました。政教分離の今は1階は図書館、2階は音楽室として使われています。

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 教会の身廊の天井部分。今は音楽室の天井です。 

   

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  ちょっと見にくいですが、窓の間の付け柱の頭部分、ハートが並んでるんですよ♡。細かい細工が憎い。もしかして、名前がハート(Le Coeur)だからかな。

 

 他には近代的な理科室なども見せてもらいました。 

 

 見学は1時間ほどで終了し、モノクロの昔のクラス写真や、食堂、宿舎の写真などを見せていただきながら少しおしゃべりして解散しました。校長先生、歴史の先生、どうも有難うございました。

 

 下の写真は、20世紀初めの学校の様子です。

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 食堂のテーブルクロスに、バスク織りが使われているのを発見。さすがバスク。

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 正面玄関。現在は中庭から出入りするようになっています。

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 寄宿舎の様子。病院みたいですね。

 

 この見学のおかげで、この学校が豊かな文化的背景を持った場所だということが分かりました。このような場所で息子が学べることに感謝しなければいけませんね!

 

 それにしても、1年に1回しか公開されないので写真をもっと撮っておけば良かったーと、ちょっと後悔しています。