バスク日々の泡

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『犬が島』- ウェス・アンダーソン監督のアニメーション映画の不思議な日本と、日本文化への愛に感じ入る


『犬ヶ島』日本オリジナル予告編

 

 全然最新作ではないのですが、ウェス・アンダーソン監督の『犬が島』。

 

 フランスでは去年上映され、映画館に家族3人で観に行きました。今回DVDをお店で見つけ即購入。すごく良い映画です。

 

 『犬が島』は、ウェス・アンダーソン監督の人形を使ったアニメーション映画で、20年後の日本の架空の都市が舞台です。その名もメガ崎市。代々メガ崎市を支配してきた犬嫌いの小林市長とその一味の陰謀によって、犬インフルエンザの流行が起こり、全てのメガ崎市の犬はゴミ島に強制的に収容されてしまいます。

 

 主人公の少年アタリは、大好きなスポッツ(小林市長の養子だったアタリのボディーガード犬)を探しに、軍用機をハイジャックして一人ゴミ島に乗り込みます。そして5匹の犬に出会い、彼らとスポッツを探す旅に出ます。

 

 何百体もの人形を動かしてコマ割りで撮影してと、膨大な時間と手間をかけて作られたこのアニメーション映画、舞台であるメガ崎市は日本にありますが、もちろんウェス・アンダーソン監督の空想の中の日本です。でも、実際の日本に負けないくらい不思議で、豊かで、独特の世界観を持っています。この世界観に親子ですっかりハマってしまい、DVDを買ってから1週間連続で観てました(苦笑)。

 

 背景も人形もすごく丁寧に作り込んであって、まさに職人技。背景を見るだけでも、この映画を観る価値があると思います。

 お犬様たちは皆犬インフルエンザに罹っているという設定なので、ボロボロでちょっと切ないのですが、毛が風にそよそよと吹かれるシーンなんかはすごく良いです。

 

 もともと日本映画、日本文化が大好きなアンダーソン監督、インタビュー動画を見たのですが(凄く優しそうな人だった)、黒澤明監督や宮崎駿監督、漫画家で映画監督の大友克洋さんの作品なんかにインスピレーションを受けて『犬が島』を作ったそうで、あーだからか~、と色んな面で腑に落ちました。

 

 小林市長は、ちょっと三船敏郎に似てるし(でも三船の方が100倍男前!)。黒澤明監督の映画『どですかでん』とか、『AKIRA』をほうふつとさせる雰囲気だし。小林市長とかその腹心とか犬とか、登場人物がいちいちハードボイルドだしね(『悪い奴ほどよく眠る』みたい)。 

 

 あと、犬って喋ることができたらこんな感じだろうな、と思わぬところでアンダーソン監督に共感してしまった。素直で、ユーモアがあって、勇敢で、人間より賢そうだもんね。

 

 偶然見つけて好きになった新しい作品が、自分が大好きな作品たちと繋がっていたことを知って、嬉しい気持ちになりました。

 

 あ、でもこの映画で気に入らなかったことがただ一つ。それは、猫ちゃんをむちゃくちゃ悪い顔で描いていること。猫派にとってはそれは納得できないです。